コスモス 

そのコスモスは突然、目に飛び込んできた。

何度も通ったこともある道、でもあまり通らない道。あっちへ行こうか、それともこっちから行こうかと行く道に迷って、何も考えずに選んだ道。選んだというよりは無意識に向かった道。
こう書いてしまうと何か特別な出来事みたいだけど、そうでもなくなんでもない偶然とか偶偶ってことでしかないんだけど。
そこを通った時に最初は何かがあると思っただけで、それはコスモス、花だとはわからないくらいにその一面だけが浮いていて近くに行ってはじめて花畑であるということ、それがコスモスだと気がついた。そこで違和感を感じるのはきれいに長方形のその場所だけが花で埋め尽くされているということ、コスモスも終わりだという時期に満開となってきれいに咲き乱れていたこと。
そういえばその場所は春には蓮華が咲いていた、きれいな蓮華畑だった。それも今年、初めて見つけて驚いた。子供の頃はどこにでもあった蓮華畑が最近ではあまり見かけることもない。そんなときに見つけた其処は宝物か秘密の場所のように思えたものだったっけ。

そう考えると其処は誰かが意図的に季節の花を咲かせているのかもしれない。わたしが感じた違和感は自然に、自生しているのではなく、作られたものだったからかもしれない。

季節ごとに観察してみよう。もしかすると夏には向日葵が咲いていたかもしれない。これからの季節はどうなるんだろう。